1997年にヘッジファンドの空売りによってスタートした、東南アジア・東アジア各国通貨が連鎖的に急落したのを覚えているでしょうか?
タイ・インドネシア・韓国はIMF管理下に入り、アジアの国々の多くがドルペッグ制⇒変動相場制へ移行に。
アジア通貨危機ってなあに?
先にも書いた通り、1997年にタイから連鎖的に起こったアジア各国の通貨の急落です。
米国のヘッジファンドがタイバーツに大量の空売りを仕掛けたことでタイバーツが大幅下落しました。
東南アジア諸国は通貨バスケット制と呼ばれる固定相場制を採用していたため、下落が連鎖。
タイがアジア通貨危機に至った経緯
- ドルペッグ制による外資流入でタイの経済成長
- オフショア市場設置によりタイの投資市場がバブル化
- ドルの政策変更によりタイの経常赤字拡大
- ヘッジファンドによる空売り
- 暴落がアジア諸国に波及
1、ドルペッグ制によりタイ経済が急成長
東南アジアの国々が採用していた通貨政策はドルペッグ制です。
これは自国通貨レートを米ドルに連動させます。
値動きが不安定な通貨の場合、ドルと連動させることで値動きを最低限に抑え、為替レートを安定させることができるというメリットがあります。
また発展途上国の場合、海外からの投資がしやすくなり、外資が入ってきやすくなるため利点も。
このドルペッグ制はタイも採用していました。
タイが1990年代に大きな経済成長を遂げた要因は、ドルペッグ制による為替リスクが軽減されていたことの他に、日本はじめ海外企業がタイに進出し、輸出が大幅に増えたから。
けれども、工場で使う材料は輸入に頼っており、これがこの後の経常赤字につながっていきます。
また、タイはオフショア市場を開き、そこに参加する企業は有利な課税方式で低コストでドルを調達できました。
オフショア市場という有利な市場の設置と為替変動リスクの低いドルペッグ制という2つの仕組みにより、タイには外国資本が流入します。
外国資本の多くが不動産などの投機的商品に注がれました。
その結果、不動産を中心にタイでは金融バブルが起こります。
2、強いドル政策によりタイの経常赤字が拡大
短期間で大きな経済成長をしていたタイですが、1995年に米国が政策変更を行うことで経済成長が鈍化します。
「強いドル政策」のため、ドル高に進みます。
タイバーツもそれに伴い、上昇しました。
ですが、輸出産業に頼る経済構造なので、タイにとってバーツ高は歓迎できず…。
そして、上にも書いた通り、材料・資材は輸入に頼っているので、これ財政を更に圧迫させます。
- タイの財政赤字の拡大のまとめ
- ドルペッグ制によるバーツ高により輸出が伸び悩む
- 輸出に使う材料は輸入せねばならない
- 財政赤字なのに、バーツ高
この評価価格のズレにヘッジファンドが目を付けたのですね。
バーツは割高であると判断されたのです。
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